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ロマンスドール原作の結末ネタバレ!最後まで読んだ感想も紹介

ロマンスドール 原作 結末 ネタバレ

映画監督・脚本家・小説家の顔を持つタナダユキ。

彼女が2009年に書いたオリジナル小説「ロマンスドール」が、10年の時を経て、彼女自身の手によって実写化。

原作の「ロマンスドール」を実際に読んでみましたが、冒頭から衝撃的で、しかもそれを回収する結末が・・・。

原作を先に読んで結末を知っていても映画を観たいと思う作品と、そうでない作品が私の場合ありますが、「ロマンスドール」は是非映画館でその世界観を味わってみたいと思わせてくれる小説でした。

以下に小説のネタバレと感想をご紹介します。

内容を知らずに映画を観たい方にはお勧めできませんが、予備知識ありで映画を楽しみたい方や、とりあえずどんな小説なのか知りたいという方は、以下のネタバレと感想で独特の世界観を味わって下さいね☆

 

ロマンスドール原作の結末ネタバレ!

ある一人のラブドール職人(哲雄)が、美人聡明な女性(園子)に一目惚れをして結婚。

穏やかに流れゆく日常の中、少しずつ見えない歪み、変わりゆく感情が出会ってから10年の時間の中で生まれていく。

哲雄と園子には、お互い内緒にしている秘密がある。

その秘密が明らかになった時、愛おしくてたまらない、静かに燃えたぎる情熱が2人を無心にかきたてる・・・。

[voice icon=”https://muttablog.com/wp-content/uploads/2019/07/km367170145007115214346.png” name=”20代接客業” type=”l fb”]「ロマンスドール」は、『嘘と秘密と本当の愛』を描いた、切ない大人ラブストーリー。[/voice]

 

「ロマンスドール」衝撃的な冒頭

「妻が、腹上死した。」

哲雄と園子の結婚生活を描いた小説「ロマンスドール」。

すなわち、要の登場人物である園子が冒頭で死んでいることが分かります。

しかも、その死に方がセックスの最中に命が消えてしまう腹上死。

とても衝撃でセンセーショナルな光景にも関わらず、その光景を必然と受け入れる哲雄の姿。

小説はここから始まります。

 

哲雄と園子の出会い

哲雄は東京の美術大学・彫刻科を卒業した後、フリーターをしていた。

そんな時、大学時代の先輩にラブドールの制作工場(久保田商会)を紹介されて、そこで造形士として働く。

哲雄はシリコン素材を使った新しいラブドールの開発を手掛けるも、なかなか乳房のリアルさが出ないで苦労する。

そこで、「本物の乳房から型を取ってはどうか」ということになり、「医療用の人工乳房を作る為」と称して、モデル事務所から一人の女性が派遣される。

それが園子だった。

息を飲むほど美人の園子を、しかも彼女の透き通るように美しい裸体を目の前にして、神々しささえ感じながら夢見心地の作業時間を過ごす。

あっという間に作業が終わり、このまま彼女と出会うこともなくなってしまう・・・。

そう思った哲雄は、その場の勢いで一気に告白。

園子も哲雄の想いを受け止め、2人は恋人同士となるのだった。

 

出会って5カ月後に結婚

出会って5カ月たったある日、哲雄は園子にプロポーズをする。

そして、結婚。

2人だけで神前式を挙げ、小さなアパートを借りて一緒に暮らし始める。

園子は一歩下がって夫を立てるタイプで、いつも笑顔を絶やさず、美味しい料理で疲れて帰る哲雄を出迎える。

一方、哲雄も仕事が順風満帆。

新作のラブドールが売れに売れまくり、大量の注文をこなすのに毎日遅くまで残業三昧。

家に帰ったらすぐに寝てしまう日々が続き、次第に園子との夜の営みも減っていった。

 

倦怠期到来

哲雄はドールを作り続け、園子は家庭を守りながら哲雄を支える。

そんな日々を繰り返しながら、あっという間に結婚生活も4年が経過。

この頃には、2人の性生活はレス化状態にあった。

園子は特に欲求不満な態度を取ることもなかったし、哲雄も園子のことを「女性」として見るよりも、どこか「母親」のような母性に近い目で見るようになっていた。

哲雄が夜遅くまで飲んで帰っても、胃に優しい温かい料理を作って出迎えてくれる園子。

世間的にはとても出来たいい奥さんのはずなのに、それをかえって息苦しく感じるようになった哲雄は、家にまっすぐ帰らなくなる。

 

哲雄の浮気

まっすぐ家に帰らなくなった哲雄。

そんなある日、バーで理香という女性と知り合い、関係を持つようになる。

園子以外の女性の体に触れることが新鮮で、哲雄は理香の体に溺れるように夢中になった。

そして、園子との関係は一切なくなってしまう。

理香は次第に「奥さんとはいつ別れるのか」と言うようになり、哲雄との結婚をにおわすようになる。

そんな理香の言葉を哲雄は適当にかわし、このまま都合のいい体だけの関係を求めるようになった。

 

園子の浮気

園子の浮気が発覚する。

園子は哲雄に何も言わずにきたが、自分を女として求めてもらえないことに寂しさを抱えていたのだった。

そして、同窓会で再会した同級生と一夜を共に・・・。

哲雄は自分が先に浮気をしたのを棚にあげ、園子に浮気されたことにショックを受ける。

園子は初めて哲雄に「女として見てもらえなくなったことの寂しさ」や、「その寂しさから過ちを犯してしまったこと」を正直に打ち明けたのだった。

 

3人の修羅場

園子に浮気を打ち明けられた哲雄は、今までのこと、これからの事をじっくりと考える。

そして、自分も正直に理香のことを話し、ちゃんと園子ともう一度向き合ってやり直そうと決意。

しかし、そのタイミングで園子は哲雄に別れを切り出したのだった。

そんな矢先、なんと自宅に酔っぱらった理香が押し掛けてくる。

そして始まる3人の修羅場・・・。

理香は園子に別れてと迫り、園子は哲雄に別れると告げる。

哲雄は理香に別れたいといい、園子には別れたくないと懇願。

地獄のような修羅場だったが、実は理香には哲雄の他に交際相手がおり、その相手に失恋した腹いせに哲雄に結婚を迫ったのだった。

哲雄は自分が理香の本命ではなく、単なる浮気相手に過ぎなかった事実に、自分の愚かさを嘆く。

 

園子と哲雄はやり直すことに

園子は哲雄が泣きながら別れたくないとすがる姿を見て、もう一度やり直してみることを決意。

それからは哲雄は早く家に帰るようになり、昔のように園子が用意してくれた温かい食事を家で一緒に食べるようになった。

時には外食してみたり、映画デートしてみたりと、恋人同士の時のようなトキメキを感じながら穏やかな日々を過ごしていた。

しかし、園子は哲雄に求められても何かと理由をつけては哲雄を拒み続けるのだった。

 

病院で園子の姿を見かける哲雄

ある日、哲雄は病院で園子の姿を見かける。

そして、産婦人科のプレートが目に入り、「もしかして自分以外の男との間に子供が出来たのではないか?だから求めても拒まれるのではないか?」と疑心暗鬼に陥るのだった。

そして、園子に病院にいた理由を迫り、長い沈黙の後に発せられた園子の言葉は「別れよう」。

突然の別れ宣言に動揺した哲雄は、何を隠しているのかと問い詰める。

すると、「てっちゃんも私に隠してることあるでしょ。」と切り出され、ラブドールを作っていることを隠している哲雄は激しく動揺する。

しかし、自分の本当の職業を偽っていたことが離婚の原因になるのであれば、覚悟を決めて本当の事を話そうと決意。

 

園子の秘密が明かされる

哲雄は正直に自分の職業を明かす。

しかし、園子は知っていたとあっけらかん。

医療用の人工乳房を作る会社だと聞かされていたが、派遣先の会社名が久保田商会という医療と全く関係なさそうな名前だった為、もしかしてと思っていたと。

本人が言ってくるまでは知らないふりをしておこうと思っていたと。

哲雄は拍子抜けすると共に、秘密を明かした安堵感に浸っていたが、園子が語り始めた自身の秘密に愕然とする。

「私、がんなの。」

園子はなんと胃がんを患っていた。

哲雄に看病という大変な仕事を背負わせないよう、経済的負担をかけないよう、哲雄と別れて一人で闘病する気でいたのだった。

夫に頼ることをさせてあげられなかった自分の不甲斐なさを痛感した哲雄は、離婚はせずに一生一緒にいることを園子に誓う。

園子の手術は成功し、2週間程度の入院で無事に退院した。

 

久保田商会の危機

シリコン素材でラブドールを作る会社が増えて、久保田商会の売上は激減。

そこで、新しい素材によるラブドールの開発が遂行されていたが、そのデータが競合他社の手に渡ってしまうという事件が発生。

新素材によるラブドールを先越されてしまった久保田商会は、一気に会社存続の危機に陥った。

久保田商会に残された道はただ一つ。

新素材を用いて、他社よりもずっとずっといい質感のドールを作ること。

その開発の為、哲雄は試行錯誤する日々が始まる。

 

園子の再発

そんな折、園子のガン再発が発覚。

成功率50%の手術だったが無事成功する。

3週間の入院を経て、退院後に自宅に戻った園子は、あるお願いを哲雄にするのだった。

 

お願い、私を作って

園子のお願いは、自分のラブドールを作って欲しいということ。

その為に、私を抱いて欲しいということ。

実は、新素材によるラブドールの仕上げが思うように進んでいなかった哲雄。

人肌から遠ざかる生活をしていた哲雄は、ドールのリアリティを出せずに苦心していた。

それを察したかのように、園子は自分を抱くことで人形を完成させて欲しいと。

園子の意図が読めた哲雄は、毎晩のように園子を求めた。

そして、園子も出会った頃の控えめな感じとは違い、積極的に哲雄を求めた。

 

ガンが全身に転移

日ごとにやせ細っていく園子。

病院で検査を受けてみると、ガンが全身に転移していることが判明。

哲雄は義両親と相談して、園子には告知しないと決める。

その夜、園子はいつも以上に哲雄を求めてきた。

その懇願する瞳の奥に、自分の命が長くないことを知っていることを感じた。

 

園子、哲雄の上で死す

ある日のこと、ラブラブの恋人同士のように、哲雄と園子はずっとベッドの中で過ごしていた。

いつまでもいつまでも2人がお互いを求めあう。

園子の体は昔と比べるとガリガリに痩せてみすぼらしくなってしまったが、そんなことはどうでもいいぐらい、園子のことが愛おしくてたまらない。

その日もいつものように、園子が上になって動く。

体重が減りすぎて、哲雄が上に乗れなくなったためだ。

全身ガンにむしばまれている体で、一生懸命哲雄に尽くす園子。

そして、その瞬間、園子の動きは止まり天井を見上げながら、哲雄の上にパタリと倒れ込む。

園子が生きるのをやめた瞬間だった。

 

園子ドールの完成

園子が亡くなってから、哲雄は一心不乱にラブドール製作に没頭した。

自分の体に刻み込まれた園子を思い出しながら、骨・内臓・皮膚あらゆる全てを園子の通りに。

そして数カ月後にやっと出来上がった完璧な園子そのもののドールを見た瞬間、この世に園子がいない現実に直面し、死後初めて号泣した哲雄だった。

 

伝説のラブドール

園子のおかげで完成したラブドールは「その子1号」と命名され、爆発的に売れた。

しかし、余りにもリアルに作られ過ぎていたことで、わいせつ罪で会社は摘発されるも、社長の尽力で久保田商会は復活を遂げる。

そして、マニアの間で「その子1号」は伝説のラブドールとして称えられることとなった。

 

ロマンスドール原作を実際に読んだ感想

2020年1月24日に映画「ロマンスドール」が上映されることを受け、原作小説が高橋一生×蒼井優の装丁仕様で販売されていますが、書店によって在庫少なめのところも出てきているようです。

 

映画化への期待度

確かに、腹上死から始まり腹上死で終わる物語がどう実写化されるのかって思いましたね。

でも、映画仕様の装丁を見ると、とてもキレイなビジュアルで期待度があがります!

園子の秘密を共有してからは濃厚な2人の時間を刻むシーンがあって、映画にするなら18禁になりそうな雰囲気。

でも、実際は12禁。

2人のリアルな感情の揺れ動きを丁寧に描いた映画になってるんだろうな~って思います。

園子役の蒼井優は原作のイメージにピッタリ!

そして、園子への愛情をうまく表現できない不器用さと複雑さ持つ哲雄を高橋一生が。

高橋一生は「凪のお暇」でも愛する人への想いを素直に表現できない面倒で複雑な男を熱演しているので、高橋一生演じる哲雄が楽しみです。

 

泣ける人続出

2人が秘密を共有してからの、2人がお互いを思いやる場面では涙ウルウルでしたね。

そして、園子ドールが完成した時の哲雄の感情に、ドッと一気に(涙)

 

まとめ

「ロマンスドール」の原作結末や、ネタバレ&感想をご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?

哲雄は正直言うとダメ男です。

何も言わない出来た奥さんの上にあぐらをかき、自分は好き放題やりたい放題。

でも、奥さんがこの世から消えてしまうと分かった瞬間からでも、本音を言い合い、それぞれの気持ちにそっと歩み寄る。

そして、静かに愛の絶頂のまま、「死」を迎え入れる。

嘘から始まった2人が、すれ違いぶつかり合いながら歩み寄った10年の軌跡を描いた大人ラブストーリー。

「ロマンスドール」の原作結末、そしてネタバレ&感想をご紹介しました☆