毎年発表される、「今年の漢字」。1995年にスタートし、その年の世相を表す漢字一文字を決定していくイベントです。日本漢字能力検定協会が、その年を象徴する漢字一字を公募し、最も応募数の多かった漢字が「今年の漢字」となります。「今年の漢字」を見ると、その1年間にどんなことが起き、私たちを取り巻く環境が変わっていったのか振り返ることができるだけでなく、時が経っても、印象深い出来事や歴史的なイベントを忘れずにいられるという、伝統的な意味合いもありますね。漢字 一文字 深い意味を持つ歴代の「今年の漢字」を、振り返ってみたいと思います。
印象深かった「今年の漢字」10選!その意味は?
2022年:「戦」
- ウクライナとロシアの戦争
- サッカーワールドカップの戦い
- コロナとの戦い
2022年の漢字「戦」は、まず一番に戦いの多い1年だったということが挙げられるでしょう。まだ終わりを迎えていなかったコロナとの戦いもあり、最も深刻だったのはウクライナとロシアの戦争。戦争を知らない私たち世代にとっても、戦争で多くの人々が命を落とすという恐怖を目の当たりにした1年でしたね。この「戦」という漢字は漢字一文字で深い意味を持ち、アメリカ同時多発テロ事件が起きた2001年以来、2度目の選出となりました。
2021年:「金」
- 東京オリンピック・パラリンピックで日本人選手が金メダルを多数獲得
- 大谷翔平選手、藤井聡太竜王、松山英樹プロなど、各界で金字塔が打ち立てられた
コロナ禍により1年延期となっていた東京オリンピックの開催年となった2021年は、金メダル獲得に世界中が湧いた1年でした。他にも、新500円硬貨が発行されたり、肉親の金銭問題が報じられていた小室圭さん・眞子さんの結婚が発表されたりと、「金」に縁のある年となりました。
2020年:「密」
- 3密「密閉」「密集」「密接」
- 3密を意識することで、人と人との関係がより密接に
コロナ禍真っ只中だった2020年は、いたるところで「3密」という言葉を聞くことが多かったですね。物理的な距離を置かなければならない、歯がゆく切ない1年でしたが、大切な人との心の距離や思いやる気持ちは反比例し、どんどん「密」になっていった年でもありました。
2019年:「令」
- 新元号「令和」がスタート
コロナ禍前の2019年は、「平成」から「令和」へ時代が変わった、新しい幕開けの年でした。「令和」は、日本の古典から出典を得た元号ということで、日本の伝統文化を改めて考える1年にもなりましたね!
2014年:「税」
- 17年ぶりの増税
食料品や日用品をはじめ、電車・タクシーの運賃、電気・ガス・水道など公共料金も値上がりした2014年は、しょうひぜいが5%から8%に引き上げられました。今年の漢字に「税」が挙げられるほど、私たちの生活がガラリと変わった年になりましたね。このあとさらに、2019年には10%に増税していることから、少子高齢化などの根本的問題が解決しない限り、景気回復は難しいといわれていますね。
2011年:「絆」
- 東日本大震災
- 新潟・福島豪雨
- 台風12号
あの東日本大震災をはじめ、豪雨や台風など、近年まれに見る大きな災害に見舞われた2011年。多くの命を奪い、被災地の平和な生活を奪い、日本経済にも大きな打撃をもたらしましたね。そんな災害の年となった2011年には、身近な人、大切な人との絆を改めて感じることのできる1年でもありました。
2009年:「新」
- 政権交代
- バラク・オバマ氏が大統領に就任
- 新型インフルエンザの流行
- イチロー選手の新記録
2009年は、民主党が総選挙で大勝した年。鳩山政権のスタートでした。自民党・麻生政権では、景気悪化を加速させるなどの行き詰まりが決定打となり、鳩山内閣の支持率は一時7割を超えるなど、好スタートだったのも印象深いですよね。また、アメリカとメキシコで死人が続出した新型インフルエンザ・豚インフルの流行も、1年を象徴する出来事となりました。
2006年:「命」
- 悠仁さまご誕生
- 小中学生のいじめによる自殺多発
秋篠宮悠仁さまのご誕生を受け、「命」という漢字があてがわれた2006年。また、顕在化するいじめによる子どもの自殺が多発したことで、世間が改めて「命」について考える時間が多かったことも、今年の漢字に選出された大きな理由となりました。
2004年:「災」
- 新潟県中越地震
- 新潟・福島豪雨
- 福井豪雨
- 台風の連続発生
- 21年ぶりの浅間山噴火
記録的な災害が多かった2004年は、歴史にも残る新潟県中越地震をはじめとする自然災害が特に目立った1年でした。特に台風が連続して日本を直撃し、甚大な被害をもたらしましたね。この年に発生した台風は全部で29個、うち日本に接近したのは19個、上陸したのは10個という驚異の数だったそうですよ。
2002年:「帰」
- 北朝鮮に拉致された日本人が帰国
- 日本経済がバブル期以前の水準に戻る
初の日朝首脳会談が実現し、北朝鮮に拉致されていた5人が帰国するという歴史的な出来事がありましたね。異例ともいえる日朝首脳会談の実現は、当時の総理大臣であった小泉純一郎氏の支持率を底上げ。小泉氏は、一部で「ナチズム」などと揶揄されるほどの驚異的支持率を誇っていました。
まとめ
いつのときも、その年に起きた出来事や世相を表し、後世に歴史を残し続けてきた「今年の漢字」。代々、深い意味とともに私たちに起きた数々の出来事や思いを乗せて、記録として残り続けています。ここ数年は、私たちにとっても先の見えない不安と戦ってきたコロナ禍という迷路を表す漢字が多かったですね。数年後、数十年後にどのように語り継がれていくのか…過去の「今年の漢字」を振り返るのもまた、新たな学びがあるかもしれません。